熊本市・慈恵病院 「内密出産」導入を検討

熊本市にある慈恵病院にて、妊婦が匿名で出産し、子には成長後に出自を知ることができる「内密出産制度」の導入を検討しているようです。
慈恵病院は、親が育てられない子どもを匿名で預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を既に導入している病院として知られています。
「内密出産制度」の導入により、望まない妊娠で孤立する女性が安全に出産できる態勢を整えたいとの考え
のようです。

内密出産は、妊娠を誰にも知られたくない女性を医療機関が匿名で受け入れることで母子の安全を図り、子どもが一定の年齢になれば母親の身元を知らせる仕組みで、ドイツで既に制度化されていて、「子どもの知る権利」の保護にもつながるとしています。

熊本市においても、自宅や車中などでの危険な出産が多いことや子の出自を知る権利が奪われるなど、これまで赤ちゃんポストに対して投げかけられていた課題を解決する手段の一つになるとして注目しています。
慈恵病院はすでに熊本市に対して実現したいとの意向を伝えているのです。
熊本市は病院側の求めに応じて1月に会合を持つ予定です。

慈恵病院の構想では、女性に身元を記した書類に封をして行政機関に預けてもらった上で、病院での匿名出産を受け入れる予定です。
出産時に女性が亡くなったり重篤な状態になったりしない限り、子どもが一定の年齢になるまで開封せず保管して匿名性を守るようです。生まれた子どもは、特別養子縁組をした家庭などで育てる意向です。

慈恵病院は「命を救う最後の手段」として、2007年に赤ちゃんポストを設置しました。
約10年間で130人の子どもが預けられましたが、うち少なくとも62人が母子の生命の危険を伴う「孤立出産」です。

また、親の身元が分からない子どもが2017年3月末時点で26人おり、子の出自を知る権利との両立をいかに図るかが課題となっていました。
運用状況を定期的に検証している熊本市の専門部会では、解決策の一つとして内密出産を示し、熊本市は今年7月と11月には厚生労働省に対し、内密出産に関する法整備を要望しています。

大西一史・熊本市長は今月18、19の両日、ドイツの病院などを訪ね、内密出産制度を視察する予定とのことです。

ただ、現行制度では生まれた子が無戸籍状態になる可能性が指摘されており、安易な出産や遺棄が増えるなどの批判が強まることも考えられています。

慈恵病院の蓮田健副院長は、妊娠を知られたくなくて誰にも相談できず、孤立している妊婦が一定数いるため、匿名性を掲げて受診のハードルを下げて、危険な自宅出産をする人を減らし、母子両方の命を守りたいとの意向です。