リニア不正問題 JR東海社員が関与か

リニア中央新幹線の建設工事を巡り、大手ゼネコンの大林組が偽計業務妨害の疑いで東京地検特捜部による捜査を受けている件について、事業主であるJR東海側社員から「名城非常口」の新設工事における工事費に関する情報などを、大林組に対して伝えていた可能性が強まっています。

今回の建設工事については、最終的に大林組が工事を受注しており、東京地検特捜部は大林組側がJR東海側に情報漏えいを持ちかけた可能性もあるとみて、JR東海の社員に事情聴取をし、入札の経緯の解明を進めています。

今回のリニア中央新幹線の建設工事において、大林組が受注した契約は、以下の4件です。
・品川駅南工区(港区)
・名城非常口(名古屋市)
・名古屋駅中央西工区(名古屋市)
・東百合丘非常口(川崎市)

特捜部は、上記4件の契約の中で「名城非常口」における受注業者選定に不正があったとの疑いで捜査を行っているようです。「名城非常口」の工事は、リニアが走る地下トンネルと地上をつなぐ非常口を新設するものです。

「名城非常口」の工事については、JR東海から2015年5月に業者選定方法を公表し、16年4月に大林組・戸田建設・ジェイアール東海建設の共同事業体(JV)と約90億円で契約締結に至りました。

この工事の受注業者選定方法は、JR東海側が業者を広く募って見積もりを出させ、施工方法や価格を勘案して受注業者を決める「公募競争見積もり」と呼ばれる方式でした。

この工事では工法が異なる大林組のJVと、鹿島を中心としたJVが競合していました。JR東海側は業者選定手続きの過程で、構造物の安全性の指標である「安全率」と呼ばれる設計要素を変更していました。この変更内容に関して、大林組が鹿島と情報交換したと見られています。そして、大林組はJR東海側から工事費や工事に参加している企業の情報などを聞き出した上で、受注に結びつけたとの疑いがかけられています。

この工事の入札を巡って、大林組が、競合する他の大手ゼネコンが首都圏のリニア関連工事を受注することに協力する見返りに、入札に参加しないよう要請した疑いもあるようです。

JR東海は11日、リニア工事の契約手続きを把握するため、坪内良人専務執行役員を委員長とする公正契約等調査委員会を設置したと発表しています。

リニア中央新幹線の建設事業は、財政投融資を活用しており、総工費は9兆円にものぼる非常に大規模な事業です。建設業界にとっても、利権が非常に大きく、今回の大林組に捜査が入ったことに、業界への影響も懸念されています。